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米国公認会計士(USCPA)

米国公認会計士(USCPA)
金融・投資難易度: ★★★★☆更新日: 2026年3月28日
合格率: 科目別45〜65%
勉強時間: 約1,200〜1,800時間
受験料: 約30〜40万円(受験料・ライセンス申請費含む)

USCPA(米国公認会計士)— なぜいま取るのか

日本の公認会計士試験と比べてどうなのか、という話をよく聞かれる。端的に言えば「難易度は同等だが、働きながら取れる」のがUSCPAの最大の特徴だ。

USCPA(U.S. Certified Public Accountant)はアメリカの公認会計士資格で、日本国内でも取得が可能。BIG4監査法人の国際部門、外資系投資銀行・コンサルファーム、グローバル展開する日系大手の経理・財務部門で広く評価されている。IFRS(国際財務報告基準)の知識が体系的に身につくため、グローバルビジネスに関わる人間にとってのパスポート的資格といえる。

転職市場での見られ方も独特だ。「USCPAホルダー = グローバル会計の基準を理解している」というシグナルになる。日本のCPAとは市場が異なるため、競合が少ない希少性もある。

受験資格・登録州の選択

USCPAの受験資格は各州(State Board)が定めており、日本人に人気の州がいくつかある。

日本人に人気の州

特徴
ワシントン州 学歴要件が比較的緩い。大卒+会計単位要件を満たせば受験可能
アラスカ州 単位要件が取りやすいとされる
モンタナ州 社会保険番号(SSN)不要で受験しやすい
ニューハンプシャー州 居住要件なし、単位要件が現実的

重要: 州ごとに「学士号取得」「会計単位(Accounting Credits)」「ビジネス単位(Business Credits)」の要件が異なる。自分の学歴・専攻に合わせて最適な州を選ぶことが重要。

単位要件の補充方法

日本の大学で会計・経済を専攻していない場合、米国大学の通信講座(CLEP、放送大学との単位互換など)で不足単位を補充するのが一般的。

日本での申込窓口

日本では アビタスTAC などの専門予備校がNTSMA(Notice to Schedule / Matriculation Authorization)取得をサポートしており、実質的に日本居住のまま出願〜受験が可能。

試験の構成

2024年のCPA Evolution改定で試験構成が変更された。

科目 名称 内容
AUD Auditing and Attestation 監査論・保証業務
FAR Financial Accounting and Reporting 財務会計・報告
REG Taxation and Regulation 税法・ビジネス規制
BAR / ISC / TCP Discipline科目(3択で1科目選択) BAR=事業分析と報告、ISC=情報システム管理、TCP=税務法律コンプライアンス

4科目すべてに合格(各科目75点以上 / 99点満点)が必要。ただし、合格した科目は30ヶ月間有効(2024年改定)。段階的に合格を積み重ねられる仕組みは、社会人受験者に大きなメリット。

試験形式

項目 内容
実施機関 AICPA(米国公認会計士協会)+ NASBA
試験会場 Prometricテストセンター(日本国内に複数会場あり)
言語 英語のみ
形式 CBT(コンピュータ方式)。MCQ(四択)+TBS(シミュレーション問題)の組み合わせ

難易度と合格率

科目別の合格率(2023〜2024年実績):

科目 合格率目安
AUD 約46〜50%
FAR 約44〜50%
REG 約55〜62%
BAR/ISC/TCP 約55〜65%

日本人受験者は英語ハンデがあるため、これより若干低い傾向。ただし「4科目の合格率を掛け合わせた総合合格率」は低く見えるが、段階合格の仕組みで補完される。

FARが最難関という評価が定着している。範囲が広く(US GAAP全域 + IFRS比較)、計算量も多い。FARを最初か最後かどちらで受けるかは受験戦略の核心になる。

勉強法と学習計画

総学習時間の目安: 1,200〜1,800時間。1日3時間勉強しても1〜2年かかる計算だ。

推奨勉強順序

  1. FARAUD から始めるのが定石。FARを先に潰すか後に残すかは好みが分かれる
    • FARを先に取ると、他科目が楽に見える
    • AUDを先にするとFARとの相乗効果がある
  2. REG は税法なので、ある程度英語力と会計基礎が固まった後がよい
  3. Discipline科目 は最後に余裕を持って対策

教材の選び方

USCPAの学習は日本語教材が整備されているのが強み。

日本語教材(予備校):

  • アビタス: 最多受講者数。日本語テキスト+英語問題集のセット。模擬試験の質が高い
  • TAC: 大手予備校。通学・通信ともに対応
  • GLEIM: 英語教材の定番。問題数が多く、本番に最も近い難易度

英語問題集:

  • Becker CPA Review: 米国内シェアNo.1。本番と同じ難易度・形式
  • Roger CPA Review / Surgent CPA: 比較的コンパクトな構成

選び方のポイント: アビタス/TACの日本語テキストで概念を理解し、GleimかBeckerの英語問題集で本番形式に慣らすのが最も効率的とされる。

費用の全体像

項目 金額目安
予備校費用(アビタス等) 約40〜60万円
受験料(4科目合計) 約1,200〜1,500 USD
州への申請費用 州によって異なる(1〜3万円)
ライセンス取得費用 約300〜600 USD

合計で80〜120万円程度かかるケースが多い。予備校費用がもっとも大きく、独学で受験費用のみに絞ると40万円台も可能。

キャリアへのインパクト

評価される職場

  • BIG4監査法人の国際部門・海外部門: USCPAは事実上の入場券になっている
  • 外資系投資銀行・コンサルファーム: 財務分析・デューデリジェンス業務に直結
  • グローバル日系大手の経理・財務: 海外子会社管理、IFRS対応業務で重宝される
  • FAS(Financial Advisory Services): M&Aアドバイザリー、バリュエーション

日本のCPAとの組み合わせ

日本CPAとUSCPAの両方持ちは最強の組み合わせとされる。日本基準とUS GAAP/IFRSの両方を理解できる人材は非常に少ない。

次のステップ

  • CFA(米国証券アナリスト): 投資分析にシフトしたいなら
  • 公認内部監査人(CIA): 内部監査・ガバナンスのグローバル資格
  • 税理士: 日本の税務専門家資格との組み合わせ
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