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ビオトープ管理士

自然・環境難易度: ★★★☆☆更新日: 2026年3月26日
合格率: 2級 約40〜50%・1級 約15〜25%
勉強時間: 2級 約50〜100時間・1級 約150〜300時間
受験料: 2級 16,500円・1級 21,000円

ビオトープ管理士とは

ビオトープ管理士は、野生生物の生息空間(ビオトープ)の保全・創出・管理に関する専門知識と技術を証明する資格です。公益財団法人日本生態系協会が主催し、1996年に創設されました。

「ビオトープ(biotope)」とはギリシャ語で「生命(bios)の場所(topos)」を意味し、野生の動植物が生息・生育できる空間のこと。都市開発が進む現代において、生物多様性を保全しながら土地を整備・管理する専門家へのニーズは高まっています。

資格は1級2級の2段階あり、さらにそれぞれ「計画部門」(地域計画・都市計画系)と「施工部門」(造園・土木施工系)に分かれています。

  • 2級: 生態系保全に関する基礎知識・技術を持つ人材向け
  • 1級: 地域の生態系全体の保全計画や管理業務を主体的に担える上位資格。筆記試験に加えて口述試験(面接)あり

造園会社・建設会社・環境コンサルタント・行政(都市整備・環境部局)・NPO法人など、幅広い分野で活用されています。

受験資格

2級

受験資格の制限はなく、学歴・職歴を問わず誰でも受験できます。

1級

以下のいずれかの条件を満たす必要があります:

条件 必要経験年数
大学(生物・環境・造園・農学・土木系)卒業 実務経験4年以上
短大・専門学校(同系統)卒業 実務経験6年以上
高校卒業 実務経験8年以上
2級ビオトープ管理士取得後 実務経験4年以上

「実務経験」とは、自然環境の保全・調査・計画・設計・施工・管理に関わる業務。環境アセスメント・造園設計・生態調査などが該当します。

試験内容

2級

項目 内容
受験料 16,500円(税込)
出題形式 択一問題(マークシート)
出題数 60問
試験時間 120分
合格基準 60%以上正答

1級

項目 内容
受験料 21,000円(税込)
試験形式 筆記(択一+記述)+口述試験
合格基準 各科目で60%以上かつ総合60%以上

出題範囲(共通)

分野 主な内容
生物多様性概論 生態系の仕組み・生物多様性条約・絶滅危惧種・外来種問題
ビオトープ論 ビオトープの概念・類型・成立条件・機能
野生生物一般 動植物の分類・生態・保全技術(特に昆虫類・鳥類・両生類・植物)
環境法・行政 自然環境保全法・鳥獣保護管理法・絶滅のおそれのある野生動植物の保存法
ビオトープ計画・施工 緑化計画・植栽設計・水辺整備・管理手法
地域計画 緑の基本計画・生態系ネットワーク・エコロジカルネットワーク

合格率・難易度

区分 合格率の目安
2級(計画・施工共通) 40〜50%
1級(計画部門) 15〜25%
1級(施工部門) 15〜25%

2級は独学でも合格可能なレベルですが、生態学・植物学・環境法の幅広い知識が求められるため、対策なしでは難しいです。1級は記述問題と口述試験があり、実務経験に基づいた具体的な事例を説明できる力が必要です。

生物学・造園・環境系の専門知識がある方は比較的取り組みやすく、文系・異業種からの挑戦では150〜200時間の学習を要する場合があります。

試験日程

年1回、例年9〜10月に実施されます。申し込みは6〜7月頃から受け付けが始まります。

1級の口述試験は筆記合格者を対象に11〜12月に実施されます。

詳細な日程は日本生態系協会の公式サイトで確認してください。

勉強法

推奨学習期間

  • 生物・環境系の専門知識がある方(2級): 1〜2ヶ月(1日1〜2時間)
  • 未経験から2級: 3〜4ヶ月(1日1〜2時間)
  • 1級(実務経験あり): 4〜6ヶ月

効果的な学習の進め方

  1. 公式テキストで全体像を把握: 日本生態系協会発行の公式テキストが試験範囲を網羅。生態学・植物学・環境法の基礎から順に読む
  2. 野生生物の分類と生態を覚える: 特に里山・水辺・草地に生息する生物(トンボ類・両生類・草本植物)の特徴は頻出。写真付き図鑑と並行して学ぶと効果的
  3. 環境関連法を整理: 自然環境保全法・鳥獣保護管理法・種の保存法・外来生物法の概要と目的をまとめておく
  4. 過去問で出題傾向を確認: 公式過去問題集(または公式サイト掲載の過去問)を3年分以上解く
  5. 1級の場合は記述・口述対策: 自分の実務経験(担当したビオトープ設計・生態調査の概要)を400〜600字程度で説明できるよう準備する

学習上の注意点

ビオトープ管理士の試験は、座学の知識だけでなく「実際の生態系でどう判断するか」という実践的思考も問われます。特に1級の口述試験では、現場経験に基づく具体的な回答が求められるため、日常の業務で生態系保全の観点を意識しながら取り組むことが重要です。

おすすめ教材

  • 「ビオトープ管理士資格試験公式テキスト」(日本生態系協会)— 試験範囲を網羅した公式テキスト
  • 「日本の野生植物」(平凡社)— 植物の同定・生態の詳細な解説書
  • 「フィールドガイド日本のトンボ」(文一総合出版)— トンボ類は頻出のため専門書で補強
  • 「生態学入門」(日本生態学会編)— 生態系の基礎理論を体系的に学べる

取得後の活用

ビオトープ管理士の資格は、以下の場面で評価されます:

  • 造園・建設業: 環境配慮型の公共工事・開発案件の入札資格要件
  • 環境コンサルタント: 環境アセスメント・生態系調査の専門家として
  • 行政: 市区町村の環境部局・緑地管理担当として
  • NPO・団体: 里山保全・自然観察指導の現場リーダーとして

特に公共工事の環境配慮要件が年々強化されており、自治体や公共機関からのビオトープ設計・管理の需要は増加傾向にあります。

関連資格

  • 環境計量士(国家資格): 環境測定の専門家資格
  • 自然環境研究員: 環境省系統の調査員資格
  • 森林インストラクター: 森林環境の保全・活用指導者資格
  • eco検定: 環境問題全般の基礎知識を問う検定
  • 造園施工管理技士(国家資格): 公園・緑地の施工管理を担う国家資格
ビオトープ生態系自然環境生物多様性造園