安全衛生推進者とは
安全衛生推進者は、労働安全衛生法に基づき、常時10人以上50人未満の労働者を使用する事業場において選任が義務付けられている安全衛生管理担当者の役職です。製造業・建設業など一定の危険有害業務がある事業場(業種によっては10人以上で必須)において、職場の安全・衛生の維持改善を担います。
試験を受けて取得する「資格」ではなく、都道府県労働局長の登録を受けた機関が実施する2日間の講習を受講し、修了証を取得する形式です。講習後の修了試験は難易度が低く、ほぼ全員が修了証を取得できます。
厚生労働省の定める要件に該当する方(一定の安全衛生実務経験者等)は講習なしに選任される場合もあります。
受講要件
安全衛生推進者講習の受講に際しては以下のいずれかに該当することが必要です。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| ① 大学卒業後1年以上の安全衛生実務経験 | 理系・文系問わず |
| ② 高専・短大卒業後3年以上の安全衛生実務経験 | |
| ③ 高卒後5年以上の安全衛生実務経験 | |
| ④ その他厚生労働省令で定める者 | 労働安全コンサルタント・保健師等 |
実務経験の要件があるため、社会人を対象とした実務的な資格です。ただし、事業者(会社)が選任できる安全衛生管理の知識を持つ人材であれば、実務経験の証明書類を提出することで受講・修了証を取得できます。
講習内容
2日間(計12時間程度)の講習で構成されています。
1日目(学科)
| 科目 | 時間 |
|---|---|
| 安全管理の知識(機械設備・作業環境の安全) | 3時間 |
| 衛生管理の知識(職業病・健康管理) | 3時間 |
| 労働安全衛生法令(法律の基礎知識) | 2時間 |
2日目(実務・演習)
| 科目 | 時間 |
|---|---|
| 安全衛生教育の手法 | 2時間 |
| 危険予知訓練(KYT)の実技 | 2時間 |
| まとめ・修了試験 | 適宜 |
修了試験は講習内容の確認テストで、大半の受講者が合格します。
合格率・難易度
修了試験の合格率は**約90〜95%**と非常に高く、2日間の講習をまじめに受講すれば修了証を取得できます。専門的な事前知識は必要なく、職場のリーダー・管理職レベルであれば内容を理解できます。
試験というよりも「講習への参加」に近い性格を持ちます。
講習費用と実施機関
講習費用は実施機関によって異なりますが、一般的に10,000〜15,000円程度です。
主な実施機関:
- 中央労働災害防止協会(中災防)
- 建設業労働災害防止協会
- 各都道府県産業安全技術士会
- 各種労働安全衛生機関
厚生労働省のウェブサイトや各都道府県労働局で近隣の実施機関と開催日程を確認できます。
取得後の義務と役割
安全衛生推進者として選任された場合、以下の業務を担当します。
| 業務内容 | 詳細 |
|---|---|
| 安全・衛生に関する措置 | 職場環境の点検・改善 |
| 労働災害原因の調査 | 災害発生時の調査と再発防止策の立案 |
| 安全衛生教育の計画・実施 | 新入社員・作業員への教育 |
| 健康診断の実施管理 | 定期健康診断の準備・受診勧奨 |
| 記録の作成・保存 | 職場点検記録、災害記録の管理 |
事業者への報告義務: 安全衛生推進者は担当業務の状況を事業者(経営者)に定期的に報告する義務があります。
関連資格
- 衛生管理者(第一種・第二種): 常時50人以上の事業場で選任義務。国家試験。安全衛生推進者から次のステップとして取得を目指す実務者が多い
- 産業安全専門官: 労働基準監督署の専門官資格。より高度な安全管理の専門知識
- 労働安全コンサルタント: 事業場の安全管理のコンサルティングができる国家資格
- 安全管理士(民間): 安全管理の専門知識を体系的に学ぶ民間資格